本データベースは、毎日新聞'95データ集を基にした京都大学テキストコーパス Version 3.0の差分データで、京都大学テキストコーパス Version 3.0に現れる助詞(格助詞、副助詞)に対して新たなタグを付与するデータです。具体的には以下の三種類のデータが収録されています。
「使役文・受身文の能動文への変換における格助詞変換データ」は京都大学テキストコーパス Version3.0のデータ中に現れる受身文および使役文を能動文に変換した場合に、元の格助詞がどのような格助詞に変換されるべきかを表すタグが付与されています。
「受身文の能動文への変換における格助詞変換データ」は京都大学テキストコーパス Version3.0のデータ中に現れる受身文のみを対象に、それを能動文に変換した場合に、元の格助詞がどのような格助詞に変換されるべきかを表すタグが付与されています。
「格解析用データ」は、京都大学テキストコーパス Version3.0に出現する副助詞「は」に関して、それを格解析した場合に出力されるべき正解の格助詞を付与したデータと、同コーパスに出現する連体修飾節の述語とその述語が修飾する名詞の格関係を解析した場合に出力されるべき正解の格助詞を付与したデータが収められています。
各データの具体例につきましては「データの見方」をご参照ください。
これらのデータは受身文等を能動文に自動的に変換する技術や格解析技術の学習用データもしくは評価用データとして利用することができます。
本データベースを利用するにあたっては以下の点にご留意下さい。
京都大学テキストコーパス Version 3.0から本データを生成する際にはLinuxで通常利用できるコマンドのみ必要で、特別なツールは不要です。ただし、毎日新聞'95データ集から京都大学テキストコーパス Version 3.0を生成するには以下のツールが必要です。詳細な生成手順については京都大学テキストコーパス Version 3.0のマニュアルをご覧下さい。
現在、Linux用のコンパイル済みjperlは入手が困難です。jperlを新たに入手する必要のある方のために、以下のリンクからjperlのソースコードを再配布します。
jperlのコンパイルにあたっては上記リンクに書かれている手順での動作を確認しています。なお、上記リンクから入手、コンパイルしたjperlの動作の保証は一切いたしません。
また、本データベースは後述するように"Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 Unported" (CC BY-SA 3.0) "の下で利用可能ですが、jperlはNICTが作成したものではなく、CC BY-SA 3.0は適用されません 。詳しくは上記ページをご覧下さい。
以下では、まず「使役文・受身文の能動文への変換における格助詞変換データ」を例にとって手順を説明します。
% cd dat % ls *[0-9].KNP
950101.KNP 950105.KNP 950108.KNP 950111.KNP 950114.KNP 950117.KNP
950103.KNP 950106.KNP 950109.KNP 950112.KNP 950115.KNP
950104.KNP 950107.KNP 950110.KNP 950113.KNP 950116.KNP % cat *[0-9].KNP > 9501.KNP
% tar zxvf kakuX.X.tar.gz # "X.X"はバージョン番号を表します。 % cd kakuX.X/koukai-shieki-ukemi
% paste 9501.KNP 9501.diff > 9501.out
「受身文の能動文への変換における格助詞変換データ」および「格解析用データ」の場合も上記と同様に生成します。各データの差分ファイル(*.diff)を、9501.KNP の各行の最後に追加し、各データを生成してください。「格解析用データ」は差分ファイルが2つあるので、それぞれにのファイルに対して、9501.KNP の各行の最後に差分ファイルを追加します。
生成されたデータのMD5 ハッシュチェックサムを以下に記してあります。正常にデータが生成されたかどうか確認するために参照して下さい。
データ名 | MD5 ハッシュチェックサム |
9501.KNP | 27f5811f137744859f2527fdc3125e91 |
使役文・受身文の能動文への変換における格助詞変換データ | d5fc18566c754cf0689876c3e826c76c |
受身文の能動文への変換における格助詞変換データ | ddf01da5adb4c16ab3de3bc94759a09b |
格解析用データ(9501-rentai) | c6bc4675e41a8e5af84cccf7a8289c2e |
格解析用データ(9501-shudai) | 02913b30992d053790e404ae25311013 |
生成したデータを「9501.out」と呼ぶこととします。9501.outは、9501.KNPに対して、
addnoudou 助詞1 助詞2
が追加されたデータであり、上記の追加された文節の係り先の文節が、使役文や受身文になっています。その追加された文節では、 元の文の格助詞である「助詞1」が、能動文にした場合には「助詞2」に変化することを意味します。以下に生成した例を示します。
* 0 1D addnoudou が を 離党 りとう * 名詞 サ変名詞 * * が が * 助詞 格助詞 * * * 1 2D うわさ うわさ * 名詞 サ変名詞 * * さ さ する 動詞 * サ変動詞 未然形 れて れて れる 接尾辞 動詞性接尾辞 母音動詞 タ系連用テ形^ いる いる いる 接尾辞 動詞性接尾辞 母音動詞 基本形
上の例において、タグの追加された元の文節が「離党が」で、その文節の係り先の文節が「うわさされている」とします。このとき、"addnoudou が を" は係り先の文節を能動文にした場合に、「が」が「を」に変化し、「離党をうわさしている」と書き換えられることを意味します
なお、下の例のように、「_」 の記号をセパレータとして複数の助詞を記載している場合はそのどちらの格助詞に変更することもありうることを意味します。
addnoudou で が_に
以下では、9501-shudai.diffから生成したデータを9501-shudai.out、9501-rentai.diffから生成したデータを9501-rentai.outと呼びます。まず9501-shudai.outは
addnoudou 助詞等
が追加されたデータであり、上記の追加された文節の副助詞「は」について格解析した場合に想定される格助詞を「助詞等」としてローマ字表記で付与しています。
例えば下の例における"addnoudou ni"というタグでは「考え方は違いがない」という文が「考え方に違いがない」と書き換えられることから、元の文の主題「は」を格解析した時に想定される格が「二格」であることを表しています。
* 5 7D addnoudou ni 考え方 かんがえかた * 名詞 普通名詞 * * は は * 助詞 副助詞 * * * 6 7D 違い ちがい * 名詞 普通名詞 * * が が * 助詞 格助詞 * * * 7 8D ない ない ない 形容詞 * イ形容詞アウオ段 基本形
9501-rentai.outは、9501.KNPに対して、
addnoudou 助詞等
が追加されたデータです。上記の追加された文節は必ず連体修飾節の述語になります。その述語が修飾する名詞を格解析した場合に想定される格助詞を「助詞等」としてローマ字表記で付与しています。
例えば下の例の"addnoudou ga" は、連体修飾節の述語「漂流する」とその述語が修飾する名詞「政治」の間にはガ格の関係が認められることを表しています。(言い換えると、連体修飾節を伴う名詞句「漂流する政治」を文に直した時、「政治が漂流する」と書き換えることができる事を表しています)
* 0 1D addnoudou ga
漂流 ひょうりゅう * 名詞 サ変名詞 * *
する する する 動詞 * サ変動詞 基本形
* 1 2D
政治 せいじ * 名詞 普通名詞 * *
なお、「助詞等」の部分が otherと書かれている場合は格助詞に相当しない場合を意味します。 また、「_」 の記号をセパレータとして複数の助詞を記載している場合はそのどちらの格助詞に変更することもありうることを意味します。
「使役文・受身文の能動文への変換における格助詞変換データ」、「受身文の能動文への変換における格助詞変換データ」、「格解析用データ」は全て、京都大学テキストコーパス Version 3.0のうち、社説ばかり集めて構築されている部分を除く、毎日新聞(1995年)のおよそ2万文の文章からなる部分が用いられています。「使役文・受身文の能動文への変換における格助詞変換データ」については、その約2万文から人手で受身文、使役文を抽出し、そこに含まれる4,671の格助詞に対してタグ付けがされています ([文献1]を参照)。「受身文の能動文への変換における格助詞変換データ」では、受け身文を抽出し、さらにKNPで係り受け関係を解析した結果、対象の格助詞と受身の動詞の係り受け関係が正しく解析できた、3,576の格助詞についてタグ付けがされています (文献[2]を参照)。「格解析用データ」も、他の二つのデータと同様に、2万文に含まれる全ての副助詞「は」(12,839事例)、および連体修飾節(9,501事例)についてタグ付けがされています(文献[3]を参照)。
データ名 | 事例数 |
使役文・受身文の能動文への変換における格助詞変換データ | 4,671 |
受身文の能動文への変換における格助詞変換データ | 3,576 |
格解析用データ(副助詞「は」) | 12,839 |
各解析用データ(連体修飾節) | 9,501 |
koukai-kaku/ | 9501-rentai.diff | 連体修飾の述語に対して、格解析した場合に想定される格助詞を付与した差分データ |
9501-shudai.diff | 副助詞「は」について格解析した場合に想定される格助詞を付与した差分データ | |
README-euc | 格解析用データの説明書 | |
koukai-shieki-ukemi/ | 9501.diff | 受身文および使役文を能動文に変換した場合に、元の格助詞がどのような格助詞に変換されるべきかを表すタグを付与した差分データ |
README-euc | 使役文・受身文の能動文への変換における格助詞変換データの説明書 | |
koukai-ukemi/ | 9501.diff | 受身文を能動文に変換した場合に、元の格助詞がどのような格助詞に変換されるべきかを表すタグを付与した差分データ |
README-euc | 受身文の能動文への変換における格助詞変換データの説明書 |
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